毎年チェコ人は、クリスマス4週間前の日曜日から、クリスマスイブまで、4本のろう そくが立てられたリースを用意し、毎週1本ずつ火を灯す習慣がある。チェコ人はなぜ4 本のろうそくのリースを準備し、火をともしているのかと考えたことがあるのだろうか。 また、その習慣の本来の意味を知っているのだろうか。そして、どうしてろうそくを灯す のか、またその活動の理由についてどう思っているのか。
アドヴェントとは?
アドヴェントとは「到来」の意味をするアドベント ゥス(Adventus)というラテン語の表現をもとにして、 できた単語である。この言葉は日本語に翻訳すれば、 「待降節」または「降臨節」になる。キリスト教の宗教 行事なので、元々ローマにおいて、始まった習慣である と思っているかもしれないが、実は、一番古い文献によ ると、最初のアドヴェントが5世紀のラヴェンナで行わ れたそうである。ローマには6世紀の半ばまでなかった そうである。現在では世界中でアドヴェントが守られて いる。
アドヴェントといえば、どんな感じ?
クリスマスイブ4週間前の準備期間は、キリスト教徒 にとって、非常に深い意味がある。イエス・キリストの降誕を祝いし、キリストの再臨を 待つという重要な時期である。昔は、エイス・キリストと出会う準備として、体と霊をき れいにするため、断食までもした時もあったが、現在は、断食はしない。アドヴェントと は悔い改め、待ち望み、静かな気持ちの時間である。祈祷をしたり、キャロルと讃美歌を 歌ったりする人が多い。
クリスマスイブまで、後何日?
子供たちが特に楽しみにしているのは、クリスマス までの日数を数える、アドヴェントカレンダーであ る。カレンダーの期限は19世紀のドイツであると言 われ、多彩な紙や布なで作られ、1から24もしくは 25までの日付の窓がある。毎日、子供たちは、その 日の窓を開くと、カレンダーにあるお菓子が現れる。 全ての窓を開け終わると、待ちに待ったクリスマスの 日になったという意味である。
ろうそくは何本?
しかし、アドヴェントといったら、どんなイメージが一番先頭に浮かぶのだろうか。ア ドヴェントリースではないだろうか。
アドヴェントカレンダーと同じように、アドヴェントリースが19世紀のドイツで風習 になり、世界中に広がったと言われている。面白いことに、当日は、アドヴェントのスタ ートからクリスマスにかけて、1本ずつろうそくを灯すというやり方であった。現在はと いうと、一般的には、モミの木の枝で作られたリースに、ろうそくを4本立てる。円には 始まりも終わりもない、「永遠」または「恒常性」という象徴する。今のように、机の上 に置いておくものではなく、昔のリースは、リボンに付けられ、ドアに掛けられたそうで ある。
リースのろうそくは、様々な形、色、大きさによって分けられる上、各々ろうそくの違 う位置によっても、意味が異なる。
例えば、たまに5本のアドヴェントリースを見ることができる。それには、どんな意味 があるのだろうか。リースの真ん中に立てられた5番目の白いろうそくは、イエスの母、 マリアの象徴である。あるいは、クリスマスや、イエス・キリストを表す場合もある。イエス・キリストを表している時は「キリストのろう そく」とよばれている。5番目の白いろうそくは、クリスマスの日に、火を灯せる。
また、用いられた色によって、意味が違う。アドヴェントを象徴する色としては紫色が 使われる。それはなぜかと言えば、断食、尊厳、悔い改めやキリストの復活を祝いするた めの使用される色であるから。4本の紫色のろうそくのほかには、4本の赤いろうそ くを使用も可能であり、3本の紫色と1本のピンクのろうそくも使われる。もちろん、他の色の、ろうそくのリースを見るこ ともあるが、それは宗教的な意味はないそうである。
最後に、ろうそくの火を灯すことは、どういう意味があるのだろうか。 ろうそくの火はイエス・キリストの光であ り、主の恋を表すと言われる。そして、反 時計回りに火をともすとは正しいやり方で ある。
現在は、各家庭には、アドヴェントリースを用意し、アドヴェントの祝典をあげる人が多いと思うが、大半の場合、リースとカ レンダーは、ただの、室内インテリアとマッチする飾りになってしまったと感じている。 アドヴェントの本来の意味が段々失われて行き、大変残念ではないかと思っている。